呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
(くそ……。こんなことになるのであれば、もっと遊んでおけばよかったか……)

 女心に弱いオルジェントは、言い寄ってくる令嬢達を面倒だからと言う理由だけで遠ざけてきたことを後悔していた。

(彼女を今すぐ抱き上げ、劣悪な環境から救い出してやりたいだけなのに……)

 どうしてこれほど思い悩まなければならないのかと、彼が悔しそうに唇を噛み締めた姿を目にしたからだろうか。
 長い時間をかけてりんごを食べ終えたイブリーヌは、か細い声でポツリと願望を口にした。

「陛下がずっと、私のそばにいてくださればいいのに……」

 オルジェントは耳を疑うような言葉が彼女から飛び出てきたことに気づき、目を見張る。

(まさか、彼女も……。俺と同じ気持ちなのか……?)

 信じられない気持ちでいっぱいの彼を目にしたイブリーヌは、どこか恥ずかしそうに頬を赤く染めると――すぐに口から出た言葉を、なかったことにするべく両手を顔の前で振った。
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