呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
(愛しき妻を愚弄する女に、俺が靡くわけがないだろう)

 彼の苛立ちを増強させていることに気づきもしない彼女は、満面の笑みを浮かべながらオルジェントの地雷を踏み抜いた。

「わたくしのほうがよほど、オルジェント様に相応しい妻になれると自負しておりますの。ヘスアドス帝国の、麗しき紅蓮の薔薇と名高い、アメリ・テランバが――」
「くだらん」

 今までなんの反応も示さず聞き流していたはずのオルジェントがそう吐き捨てたのは、空気の読めないアメリにも何かを悟るきっかけになったようだ。

「オ、オルジェント様……?」

 引き攣った笑みを浮かべた彼女を力いっぱい突き飛ばした彼は、背中に背負っていた大鎌の切っ先をアメリに向けた。
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