呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「俺は君を、守っているつもりだった」
「そんな言い訳、聞きたくありません……!」
「自身の苦痛よりも、君がどう思うかを優先するべきだった。今はとても、反省している」
「私と陛下の関係は、終わりました……!」
「君はまだ、俺の妻だ」

 彼は妻を抱きしめるのを止めた。
 すぐさま正面に回り込むと、両耳を塞いでいた彼女の手首を強引に掴んで引き剥がす。

 その指先を自身の無理やり腰元まで誘導したオルジェントは、大きく瞳を見開くイブリーヌと視線を合わせた。

「離縁など、了承できるはずがない」

 低い声で眉を顰めながら告げる夫が、恨めしい。

(不倫を、了承しろと言うの……?)

 そんなの無理だと首を振るイブリーヌに、このままでは二進も三進もいかないと焦ったのだろう。
――彼女の顔を覗き込んだ彼は、強引に唇を触れ合わせた。

(誓いの口づけすらも、拒んだくせに……)

 夫から口づけられていると知ったイブリーヌは、驚きで目を見開く。
 まさかこのタイミングで、口づけを交わし合うなど思っても見なかったのだろう。
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