呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「どうして、三年間……。会いに来て、くださらなかったのですか……」
「いろいろと、事情がある」
「それは、あの女性の件ですか?」
「違う」
「では、他に、どんな理由があると……?」

 心の距離が近づいたかと思えば、遠のいていく。
 今のオルジェントは、大空に手を伸ばしても掴めない雲のようだ。

「それは、言えない」
「言葉にしなければ、伝わらないこともあります……!」
「――行動で伝えることを怠った、俺が悪い」
「陛下……?」

 オルジェントは開き直ると、彼女は想定していたのだが……。
 彼の口から反省した様子で、思わぬ単語が紡がれたことに疑問を隠しきれないようだ。
 イブリーヌはじっと、夫の言葉を待つ。

「これからは、俺の顔を見るのが嫌になるくらい、そばにいると誓おう」

 彼女は不思議そうにオルジェントを見上げた。
そんな妻の視線を受け止めた彼は、イブリーヌが離れないように強く抱きしめながら誓った。

『そんなの、なんの意味がない』
『こんな酷い奴の言うことなんて、聞いちゃ駄目!』
『私達と一緒に、全部壊そうよ』

 亡霊達はオルジェントよりも自分達の言葉を信じるべきだと、口々に囁き合う。
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