一途すぎる上司は、一人でも楽しそうな部下を甘やかしたい
だから終業後に近づいてくる上司なんて脅威でしかない。

「内海、明日の会議の書類のことだが……」

くっ、今日に限って重要そうな入り出し!

「ここミスってないか?」

しかも自分のミスは無視できるはずがない。

私は手に持ったバッグを下ろして書類を受け取る。

「すぐに直します……千田(ちだ)さんにもご迷惑をおかけして申しわけありません」

「そんなに落ち込まなくても。この後、何か用事でもあったのか?」

「用事はないです。早く帰りたかっただけというか……」

「内海が早く帰りたいのはいつもじゃないか?」

「そうですけど……!」

私がしょげながら仕事を再開している間に、他の社員は少しずつ帰っていく。
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