梓沢くん、拾っちゃいました。
 わたしはそっと梓沢くんから抜け出し、保健室を出る。


 あぁ、もう、び、びっくりしたぁ。

 夢でも見てて縫いぐるみとかと間違えられたのかな?

 わたし、小さいから…。

 
 教室に入ると、誰もいなかった。


 扉鍵かかってなくて良かった…。

 早く家に帰…。


『フツーツサンド美味しい』

 わたしは昨日の梓沢くんの言葉を思い出す。


 …あ、今日、梓沢くんいないんだ。

 いつも通り公園でぼっち呟きして、一人の家に帰るんだ。

 そう思ったら、なんか、帰りたくない。

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