梓沢くん、拾っちゃいました。
 そして、家の近くまで歩くと、自動販売機の前で制服を着た男の子がしゃがみ込んでいた。

 その男の子と目が合う。


 あれ?

 この人、どこかで見たことあるような…。


『キャー! 梓沢(あずさわ)陸くんよ!』

『はぁ~、今日もかっこいい!!』

 わたしは今朝のことを思い出しハッとする。


 同じクラスでモテモテの梓沢くん!?

 え、本物!?

 こ、こんなところでどうしたんだろ?


 そう思うも話しかけられないわたし。

 じっと見つめられ、恥ずかしくなる。


 もう、無理。

 見てみぬふりして行こう。


 わたしは目線を逸らし、再び歩き始める。
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