梓沢くん、拾っちゃいました。
「……瀬さん」

「…………」

「桃瀬さん」

「はいっ!」

 翌日の朝。わたしは目を覚ました。

 梓沢くんの隣で。

「え、な、なななんで梓沢くんが!?」

「昨日、桃瀬さんが俺のこと、ここに泊めてくれたんでしょ?」

「…あ」


 そうだった…。


「じゃあ、俺行くね」

「え、行くってどこに?」

「高校」

「高校?」

 わたしはスマホで時間を確認する。


 まだ7時30分だ…。


「あ、あの、朝ご飯は?」

「俺、食べない派だから」

「桃瀬さん、泊めてくれてありがと。じゃあね」

 梓沢くんはそう言って、部屋から出て行った。


 行っちゃった…。


「静かだなぁ…」


 さっきまで梓沢くんがここにいたことが夢みたいだ。

 朝ご飯作って食べて、わたしも高校に行こう。
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