梓沢くん、拾っちゃいました。
 そして30分後。わたしは高校の教室に着いた。

「キャー! 梓沢陸くん!」

「はぁ~、今日もかっこいい!!」


 わ、女子のみんなに囲まれてる…。


 梓沢くんと目が合う。

 わたしはふぃっと避け、自分の席に座る。


 わたしの席は窓側の一番後ろ。

 梓沢くんの席は廊下側の一番前。

 遠いな。

 こんなにも遠い存在なのに、そんな梓沢くんと一晩過ごしたんだ。

 それだけで奇跡なのに、寂しいって思ってる。


「…またぼっちかぁ」


 もうきっと、関わることないんだろうな。

< 9 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop