獣人姫は公爵家メイド──正体隠して仕えるも、次期公爵の想いには鈍感です

第十二章:メイドたちへの試練

数日後、私スピレ改めてラニンはホールにいた。
昨夜通達があり、パドル公爵様から「大事な話がある」と翌日の早朝にメイド達全員を収集したのである。
ルライザ公爵夫人の計らいで私と同室になったリムはあくびをしながら、ぶつぶつ文句を言う。
「なーんでーこーんな早起きしなきゃならないんでしゅか〜?」
私はため息混じりに嗜め、前を向くように言った。
その瞬間、公爵様が姿を現して口を開いた。
「皆、朝早くにすまない。実はゲルドが専属メイドを欲していてな。私は差別をしない主義なので皆、平等にみているつもりだ。しかし、早めに専属メイドを決めなければならないのも事実だ。そこで君たちにとある試練を課すことにした‼︎」
『専属メイド』と聞いて私を含めた周りがざわめき始める。
これは、後にリムを通じて他のメイドが教えてくれたのだが、実はその中には、一人だけ明らかに違う目的を持つであろうと思われる少女が混じっていたそうだ。
その少女はツインテールを揺らして、笑みを浮かべながら、頬を赤らめこんなことを呟いていたらしい。
「ウフフ、私の愛しのスピレ様。お目にかかるの楽しみにお待ちしておりましたわ。あぁ〜試練が待ちきれないわ!一刻も早くお会いして、私と共に本来いらっしゃるブラウシェリ家に参りましょう‼︎」
彼女は、私のいる方をチラチラ見ながら、私の様子を見ていたらしい。
私は話を真剣に集中しているため、気づいていなかった(元々耳そんなに良くないし)。
試練の内容や日時等が告げられて解散した。
⭐︎⭐︎⭐︎
先程のツインテールの少女はすぐになりすまし仕事モードに切り替え、自分の仕事をこなし始めた。
彼女がブラウシェリ家に忠誠を誓って随分経つ。
ブラウシェリ家ではいつも、スピレのことが話題に上がっていた。
現当主の亡き姉、ミルフェイユに似ているからと裏社会では、ファンクラブまでできる有様になっている。
もちろん彼女も一員で副会長の地位を獲得している。
彼女はさっきのようにとても執着がすごく、気に入った物があると何がなんでも手に入れようと性格なので、今回のメイドに紛れ込むという極秘任務に選抜されたのであった。
その割には切り替えは早いので、周囲からは不思議ちゃんキャラとして見られているらしい。
⭐︎⭐︎⭐︎
後日、なぜツインテールメイドの言動を知っているのかと、聞きに行ったら、公爵家はこの者が何者なのか知っている上であえて、泳がせているらしい。
それに加えて、何か情報があれば報告する義務があるらしく、ネックレス型のボイスレコーダーと録画カメラが一緒になったようなものを渡された。
公爵家の恐ろしさを改めて知ることになった出来事だった。

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