貴方ともう一度、恋の夢を
   ❀



「百華、おはよ!」


 いつものように、莉奈と待ち合わせをする朝。
 欠伸が出てしまうのも、いつものこと。


「そういえば、あの夢の話、どうなった?」


 莉奈は、なにかを期待した目を私に向けてくる。


「夢って?」
「イケメンが出てきたって夢! 昨日話してたのに、忘れちゃったの?」


 信じられないと言わんばかりの反応。
 夢……ああ、そんな話もした気がする。


「だって、夢だよ? そんな覚えてないって」
「まあそっか、そんなもんだよねー」


 私の返しを聞いて、莉奈の話題は優真くんのことに変わった。
 それをいつも通り右耳から左耳に流していると、視線を感じた。


 車が一台しか通れないような狭い道で、青い眼をした黒猫が、じっとこちらを見つめている。


「百華、どうした?」
「ねえ莉奈、あの子、昨日の子じゃない?」
「あ、本当だ」


 莉奈が今日こそは写真を撮ろうとポケットからスマホを取り出したのと同時に、黒猫は背を向けて影の中に消えていってしまった。


「もう、あの子逃げ足速すぎ」
「だね」


 そして私たちはまた足を進める。


「そうだ、百華。今日の放課後、合コン行かない? イケメン大学生が集まってるんだって」


 ちょっと年上の男の人、か。
 なんだか、大人の魅力があって素敵かも。


「……行こうかな」


 すると、莉奈は驚いた顔を浮かべて、私を見ている。


「……なに?」
「いや、てっきり行かないって言われると思ってたから」


 たしかに、この手の誘いに乗ったのは、初めてに近いかもしれない。
 もともと興味なかったし。

 だけど、今日は行ってみてもいいかな、と思った。


「……黒髪イケメンに目覚めたから?」
「それって、優真くんのこと? もしかして、ハマっちゃった?」


 嬉しい空気を出しているところ申しわけないけど、それは違う気がする。

 きっかけは覚えていないけれど、なんだか頭に残っている。


 そんな曖昧なことを言っても伝わらない気がして、私は説明を諦めた。


「よーし、百華の運命の人、見つけちゃうぞー!」


 莉奈の気合いの入り方に、私は思わず苦笑いを浮かべた。





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