超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
「本当に復縁したのね」

そこへ、2人に話しかけてくる人物がいた。
ルミである。

「やっぱり2人はとてもお似合いだな。私の理想のカップル。素敵だわ」

ルミは2人を絶賛したが、アンセムはそれどころではない。
ミユウは特にルミと親しいわけでもなく、「そう」と短く言葉を返した。

アンセムはテラスから目が離せない。
隣に女性職員がいて、何かを話しているようだった。
少し距離があるが、テラスの顔色が悪く思えるのは気のせいだろうか。
ふと、テラスが自分の視線に気付いた。
ルミはアンセムが一点を見ていることに気付き、その視線を追い、テラスを見止めた。
空気が一瞬止まる。

テラスは6時前にルイザと食堂に来ていた。
食堂が見渡せる位置を陣取る。
まだ時間前ということもあり、人も少ないが、自分を部屋に連れ込んだ女たちをテラスは早速探した。
そして、いきなり2人見つけて、テラスはルイザに報告する。
1人ずつじっと見つめ、目がしっかり合うまで待った。
僅かな時間で、女たちは自分へ向けられた視線に気付く。
テラスは彼女たちのと視線が合うと、数秒見つめてから「間違いありません」とルイザに言った。
女たちはあからさまに慌てて、そそくさと食堂を出て行った。

これで、自分が行動に移したことが伝わっただろうか。
決して泣き寝入りをするタイプではなく、された仕打ちに対して、妥協せず対策し実行するとわかってくれただろうか。
もう2度と、自分に関わってほしくない。
テラスはそう強く思った。

そのとき、食堂が一瞬ざわついたように感じた。
最初はあまり気に留めなかったが、なんとなく、自分に視線を感じた気がしてそちらの方角を見りテラス。
そこに、アンセムがいた。その隣にはミユウがいる。
更にもう1人。

「あ…」

テラスは思わず声を漏らした。

「ルイザさん、あの人です。私をひっぱたいた人」
< 164 / 346 >

この作品をシェア

pagetop