大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 パーティーの場では現実を受け入れたように見えたエレノアだが、屋敷に戻ってきてからは家族が心配するほど気落ちし、泣き続けた。
 しかし、二人の婚約解消に待ったをかけたのは国王だった。それは、言葉ではなく慰謝料に表れたのだ。
 国王が提示した婚約解消における慰謝料。すなわち、婚約解消をするのであれば、王家から出せる慰謝料はこれくらいだと。
 それを見てケアード公爵は驚愕する。慰謝料は最低金額、さらに与えられる領地は王家でも大した収入にならずもてあましている場所。
 ただでさえ婚約解消を突きつけられ、気持ちが沈んでいるケアード公爵家にとってはひどい仕打ちだ。
 ケアード公爵は、すぐさま国王に謁見を申し入れた。むしろこれが国王の狙いであった。
 直接、ケアード公爵と交渉する場を持つこと。
 その交渉の結果、ジェラルドとエレノアの婚約は解消されず、続くこととなった。
 国王と王妃はエレノアの味方だった。エレノアであればジェラルドを支える堅妃となるだろう。
 それに国王と王妃はイライザを認めてはいなかった。ただの男爵家の娘。元をたどれば商家の娘で、由緒ある魔法貴族の者ではないと、どこか蔑んでもいた。
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