【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(そうよ。旦那様、ここ最近ずっと私によそよそしいわ……!)

 何か隠し事をしている、という言葉が正しいのかもしれない。

 それほどまでに、旦那様は最近私に近づこうとしない。

(も、もしかして、浮気……とか?)

 一瞬よぎったその不安に、私の顔からサーっと血の気が引いていく。

 旦那様に限って、それはない。それはないと言い切れる……のだけれど。やっぱり、結婚して冷めるとか、そういうのはよく聞くものね。

「……そうでしょうか?」

 私の言葉に、クレアはきょとんとした表情でそう返してくる。その目は、本気でそう思っているようであり、クレアは気が付いていないのだろう。……もしくは、私だけがそう思っている、とか。

「旦那様は、いつも通り奥様に接していると思いますが……」
「……ううん、私は、よそよそしいと思うのよ」

 クレアの言葉に、ゆるゆると首を横に振りながらそう返す。

「なんていうか……その、隠し事、されているんじゃないかって」

 今にも消えりそうなほど小さな声でそう言うと、クレアは眉をひそめた。……もしかして、不快にさせてしまった?

「き、気にすることじゃないのは、わかっているの。……ただ、浮気とかだったら、嫌だなぁって……」

 毛布を抱きしめて、口元を隠しながらそう言う。言葉にすると、やっぱり傷ついてしまった。

 私って、こんなにも弱い人間だっけ? そう思ってしまうほどに、今の私は打たれ弱い。体調のこともあるのだろうけれど、やっぱり……浮気は、ショックなのよ。

(イライジャ様のこともあるしね……)

 一度、私は婚約者だった人に捨てられている。ということもあり、もしかしたら私は浮気に人一倍敏感なのかもしれない。

 ……なんて、思ったところで無駄なんだけれど。

「ま、まぁ、どうせ気のせいだろうけれど――」

 クレアの顔を見つめて、そう弁解しようとしたときだった。クレアが、勢いよく私の手を握ってきた。
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