【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「奥様!」
「は、はぃ?」

 勢いよく私の手を握って、クレアが私のことを呼ぶ。……彼女のその目は、力強さを宿しているようだ。

「旦那様が浮気されているかもと、思われているのですね……?」
「う、うん。けれど、どうせ杞憂――」
「奥様をこんなに不安にさせる旦那様は、ぼこぼこにしましょう!」

 ……あの、お話が、飛躍していないかしら……?

「あ、あのね、これは私のただの想像で――」
「本当に浮気していたら、ぶっ飛ばします。えぇ、ぶっ飛ばします。……サイラスさんと、ロザリア様と一緒に」

 ……うん、その援軍は強力すぎる。

 心の中で、そう思う。

「でも、奥様がこんなにも悩まれているのに、それに気が付かない旦那様も旦那様です! なので、私が今からぼこぼこにしてきます!」

 胸を張って、クレアがそう言ってくれる。

 ……でもね、クレア。ぼこぼこにする必要はないのよ……。

(そもそも、クレアがぼこぼこに出来るわけないような……)

 体格差もあるし、旦那様は男性で、クレアは女性。……力の差はあるし、丈夫さも違う。

 そう思いつつ私がっクレアに視線を向ければ、彼女は今すぐにでも飛び出しそうな表情をしていた。

 ……多分、私が「行ってきて」と言えば、即飛び出していくだろう。……そんなこと、させないけれど。
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