【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「そ、その、旦那、さま……?」
「ど、どうした……?」

 旦那様に声をかけると、彼は狼狽えていた。……改めて第三者に指摘されると、なんだか照れくさいものね。

「隠し事、いつか、教えてくださいませ」

 でも、これだけはしっかりと伝えなくちゃ。

 その一心で私がはっきりと旦那様にそう告げると、彼は一瞬だけ視線を私から逸らされる。

 けれど、すぐに私の方を見てくださった。力強い、眼差しだった。

「あぁ、約束する。……いつになるかは、分からないが」
「……そうなの、ですか?」
「まぁ、そこは……勘弁してくれ」

 何処となく弱々しい旦那様は、何となく可愛らしい。

 十五歳も年上の男性に「可愛らしい」という言葉を使うのは、ちょっと違うかもしれない。

(だけど、可愛らしいものは可愛らしいものね)

 まぁ、この気持ちを言葉にすることはないけれど。だって、言葉にしたら――絶対に、否定されるもの。

 もしくは、私の方が可愛いって言われてしまう。……以前、そんな押し問答があったもの。

「では、一件落着ということで。奥様、お部屋に戻りましょうか~」
「……えぇ」

 クレアに促され、私は旦那様の執務室を出ていくことにする。

 旦那様がクレアを見て「……お前の所為だろ」とボソッとつぶやかれたのは、耳に入らなかったことにする。

 だって、クレアは私のためを思ってしてくれたわけだし。……私が責めるのは、お門違いだわ。
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