【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「俺は、毎日のようにアネットの噂を聞いた。……やれ何処の子息とデートをしたとか、やれ何処の男爵に物を買ってもらった、とか」

 当時の俺は、その一つ一つに傷ついた。アネットが俺を好いていなくて、辺境に嫁ぐことを嫌がっていると知っていても、傷ついた。

 というか、ただ世間知らずだったのだろう。それだけ。

「大体の奴は、俺との縁を欲しがった。だから、アネットの悪い噂を嬉々として言ってきてな」

 リスター伯爵家とつながりを持てば、それだけメリットがある。

 そう思っていたのか。はたまた、親に命じられていたのか。同年代の奴らは、アネットをバカにして、彼女の悪い噂を俺の耳に入れて……。

「初めの頃は、俺もさすがに信じていなかったんだ。だけど、な……」

 さすがに頻度が多すぎたこと。一番の友人だった男に、そう言われたことがきっかけで、俺はアネットの噂を真実なのではないかと、思うようになった。

「シェリルには言ったと思うが、俺は二年にも満たない間、王都で暮らしていたんだ」
「……知って、おります」
「俺は王都に行くことを、アネットには言わなかった。……あいつを、驚かせたかったのか。はたまた、素行を調査しようと思ったのか」

 あの頃の俺は、本当に若かったな。今だったら、人を雇って済ませるのに。

 きっと、何でも自分でしなくては……と思ったんだろう。
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