【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「旦那様、照れていらっしゃるんですよ」
「え、そうなの……?」
「はい。素直に奥様と一緒に居たいとおっしゃればいいんですけれどねぇ~!」

 マリンの視線がちらりと旦那様に向けられる。……なんだ、私とのダンスのレッスンが嫌なわけじゃないんだ。

(……良かった)

 そう思ったら、無意識のうちに胸をなでおろしていた。

 もしも、旦那様に嫌われてしまったら――なんて、想像をするとひやりとしてしまうのだ。

 それほどまでに、私はこのお方に惚れこんでいる。十五歳も年上のお方だけれど、私にとってはかけがえのない、唯一無二の王子様なのだ。

(なんて、そんなことをお伝えしたら旦那様はとても慌てふためかれるわ。……これは、胸の中に秘めておくべきなのよ)

 サイラスに肘を打たれたかと思えば、クレアとマリンに言葉の攻撃を受けていらっしゃる旦那様。

 普通の貴族ならば、こういうことをされれば使用人を解雇するのかもしれない。

「ったく、本当にお前らは……!」

 けれど、そんな言葉だけを呟かれた旦那様は――何処となく、笑っていらっしゃった。

 あぁ、このお方のこういうところ、私は――好きだな。

 私はそう強く、実感するのだった。
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