【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(あぁ、そういえば。シェリルって、並び替えるとリシェルね)

 ふとそれに気が付いて、口元が緩んだ。

 私がこの世で一番愛していて、大切にしていた最愛の妹リシェル。

 もしかしたら、シェリルさんが倒れたとき。……私が柄にもなく動揺してしまったのは、彼女がリシェルにそっくりだったからなのかもしれない。

『お姉様』

 にっこりと笑って、私の後をついてきたリシェル。

 父からも母からも愛されないのに、健気にも愛されようと必死になっていたリシェル。

 私は、そんな彼女が憎たらしくて、好きだった。

 何からも、誰からも守ってあげる。そう誓った。……その誓いは、果たされなかったのだけれど。

(ずっと、あの子だけが私のことを……)

 きっと、あの子は私が憎たらしかったに違いない。そのうえで、私のことを心配していたのは、彼女の根本が優しいからなのだ。

 はらりと涙がこぼれた。……近くにいた年配の女性が、私にハンカチを差し出してくれる。

「……どうか、されました?」

 女性がそう問いかけてくる。だから、私は痛々しい笑みを浮かべた。

「いえ、知り合いが倒れてしまって……。なんていうか、いろいろと、心配で……」

 当たり障りのない言葉を、返す。すると、女性は眉を下げた。

「そう、なのですか。……心配ですよね」
「……えぇ」

 自分の目元をこする。化粧が落ちるのがわかる。……でも、そんなこと気にしていられない。
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