【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「奥様、よかったですねー!」

 私のその様子を見てか、クレアがにっこりと笑ってそう声をかけてくれる。……どうやら、彼女とマリンには私の心の奥底の気持ちなどお見通しらしい。

「えぇ、本当によか――」

 ――よかった。

 そう、口に出そうとしたときだった。

「――っ!」

 私の身体が、不意に傾いていく。その場に倒れこみそうになったものの、寸前でマリンが私の身体を受け止めてくれた。

「シェリル!」

 驚いたような旦那様のお声が聞こえてくる。そのお声に耳を傾けながら、私は重たい瞼を開いた。

 心配そうに私の顔を、旦那様が覗き込んでいらっしゃる。……どうして、そんなにも悲しそうなお顔をされているの?

「旦那様。至急、奥様を私室に!」
「わかっている!」

 サイラスの指示を聞いて、旦那様が私のことを横抱きにしてくださる。普段ならば照れてしまうこの状況。けれど、今は照れることなんて出来ない。

(身体に、力が入らない……)

 どうしてなのだろうか。割と意識ははっきりとしているのに、身体に力が入らないのだ。

 口を動かすことさえも、瞼を開けることも億劫で。私はただ旦那様に運ばれることしか出来ない。

「至急、ロザリアさんを呼びます!」
「お願いします、マリン」

 側からサイラスとマリンのそんな会話が聞こえてくる。周囲は楽しい雰囲気から一転、慌ただしい空気となった。

(私の、所為で……)

 そう思うと、辛くなってしまう。

 最近の私は、どうにも調子が悪い。その所為なのか、こういう風に倒れてしまうことも少なくなかった。

 だけど……。

(なんとなく、どんどんひどくなっているような……)

 倒れる頻度は高くなっている。挙句、私の調子もどんどん悪くなっている。
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