【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 手を打っていないわけではない。私だって魔力補充のサプリメントは呑んでいるし、魔法使いの方も在中してくださっているし……。

(……なんだか、迷惑ばっかりかけてしまっているわ)

 体調が悪いと、心まで弱くなってしまうのだろう。

 私は、ふとそう思ってしまった。

 私が倒れるたびに振り回される使用人たち。彼らは文句一つ言わずに私の看病をしてくれるけれど、このままでいいとは思えなかった。

「シェリル、大丈夫だからな」

 旦那様が、ふと私に声をかけてくださった。その声は何処となく震えており、旦那様の方が大丈夫じゃなさそうだった。

 ……そりゃそうか。新婚の妻がこんなにも頻繁に倒れてしまったら、疲れてしまわれるだろう。

「……だん、な、さま」

 力の入らない手で、ぎゅっと旦那様の衣服を握る。

「どうした?」
「ご、めんな、さい……」

 どうしてこんなにも倒れてしまうのだろうか。どうして――迷惑ばかりかけてしまうのだろうか。

 そんなことを思うと、私の口は自然と謝罪の言葉を発していた。

「シェリルが悪いわけじゃない。……とりあえず、休もう」
「……は、ぃ」

 そのお言葉には、頷くことしか出来なかった。

(……わた、し、どう、なっちゃうのかな……?)

 なんとなく、嫌な予感がしてしまう。

 やっと幸せを手に入れられたと思ったのに。なのに……私は、このままどうにかなってしまうのではないだろうか。

 そういった不安が私の中に芽生えて、消えてくれない。

「……シェリル」

 旦那様が私の名前を呼び、髪の毛を撫でてくださった。

 ……それだけで、私は幸せだった。
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