【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(目は口程に物を言うというもの。……目だけでも、笑っているはずだった)

 なのに、彼女の目の奥には確かな心配の色が宿っていた。私を嫌っているのならば、そんな感情を宿すわけがない。

「それに、私思うのです。……アネット様は、本来はとてもお優しいお人なのだと」

 自分の想像を押し付けるのは、いいことじゃない。わかっている。わかっているのだけれど……こればかりは、譲れない。

 エリカだって、本来はとてもいい子だった。周囲の環境が彼女を変えてしまった。私のことも変えていた。

 もしかしたら、アネット様には旦那様に『きつく当たらなければなかったわけ』があったのではないか。

 そんなことを、思ってしまった。

「……あなたに、なにがわかるの」

 私の言葉を聞いて、アネット様が目を細める。それは、柔和なものじゃない。

 明らかに敵意を持っている。嫌悪感も、宿っているように見えた。

「あなたはなにもかも持っているわ。夫からの愛も、使用人たちからの信頼も。……私にないものを、全部全部持っているの」

 テーブルをバンっとたたいたアネット様が、そう叫ばれる。
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