セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
第三章 二人の恋の軌跡
 三月に入り、ようやく仕事に復帰した志歩は、作業療法士として患者に向き合う日々を送っている。

 志歩が勤めているのは回復期のリハビリテーション病院。

 病気やケガの直後は急性期と呼ばれ、治療最優先でのリハビリが行われるが、病状が安定して回復期へと移行すれば、より密度の高いリハビリを行うこととなる。

 病院内には、志歩のような作業療法士のほか、理学療法士や言語聴覚士などリハビリ専門のスタッフが多数勤めており、患者一人一人に合わせたリハビリを行っている。

 一般的に、基本的動作能力の回復を目指すのが理学療法士で、応用的動作能力の回復を目指すのが作業療法士とされているが、それぞれルーツが異なることもあり、実際に二つの違いを説明することは難しい。

 志歩としては、より生活に密着したリハビリを行うのが作業療法士だと思っている。

 食事や入浴などの日常に関わる動作の回復はもちろんのこと、仕事や趣味など、その人がより幸福に生きていくために必要なリハビリを考えるのが志歩の仕事だ。

 高校卒業後、俊也と共に上京した後、四年生の専門学校に通い、国家試験を受けて作業療法士の資格を取得した。そこからはずっと作業療法士として働いている。

 大変なことは多々あれど、人に寄り添うこの仕事は、人との触れ合いが好きな志歩にとって天職だと思っている。これから先もずっと続けていきたい仕事だ。
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