いきなりの婚約破棄からはじまる幸せ確定IFルート
「……ルシール・モートン! 君との婚約をここで、破棄させてもらう!」

「……っ……!」

 突然の婚約破棄宣言を受け、私は目を見開いて驚いてしまった。

 何故かというと、声高らかに私との婚約を破棄したカーター侯爵令息ロベルトは、先ほどまで談笑していた、ある程度良い関係が築けたと思っていた婚約者だったから。

 いえ……だったのよ。

 今夜の夜会だって共に入場もして来たし、私たち二人は良い関係を築けたと思っていた。

 私が八歳の頃に婚約して今は、十七歳、つまり、私たち二人は、九年もの長い月日を婚約者同士として生きていた。

 そろそろ結婚式の準備を……という話だって両親の口からは出ていたし、穏やかな性格のロベルトとの結婚には、私は何の不満もなかった。

 だから、ロベルトと結婚して……カーター侯爵夫人となり、生きていくのだろうと思っていた。

 けれど、婚約破棄をされてしまったとなると、どれほど言い訳を重ねたところで『あれは表向きの理由で、とんでもない女だったらしい』と、女性側に何か問題があったのだろうと勘繰られる。

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