いきなりの婚約破棄からはじまる幸せ確定IFルート
 それは酷過ぎるとなっても、これまでもそうだったということは、これからもきっとそうなのだろうし、ここでみっともなく喚き立ててもその結果は変わらない。

 頭から冷や水を浴びせられたような思いだけれど、ロベルトが公式の場でこれを言い出したということは、私にそれだけの大きな不満があったということだ。

 ……それに自ら気がつけなかった、私への罰なのだわ。

「……かしこまりました。今まで、ありがとうございました」

 私はせめても最後は笑顔で居ようと微笑み、カーテシーを彼に向けてした。

 下がろうとして振り返るのと同時に顔を上げると、その時、一瞬だけ見えたロベルトの顔は悪戯を成功させた子どものような楽しげな表情だった。

 何かしら。

 ロベルトは……礼儀正しく親しげな態度を見せつつも、私を嫌っていて、こんな風に公の場で婚約破棄をしたんでしょう?

 それにしては、不可解に思える微笑みだったような気がして、私は夜会会場から引き上げながら不思議に思い首を捻った。


――――さて、どうしようかしら。


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