それは麻薬のような愛だった
「は?…ああ…なんだコイツか」
「この人…女の人でしょ?」
「まあ女は女だがコレは…あーいい、見せた方が早い」
そう言い伊澄は軽く画面を操作すると雫に手渡した。おずおずとそれを受け取り見れば、メッセージアプリのトーク画面が表示されていた。
それはよく見ればグループトークの画面で、タイトルには伊澄の所属する法律事務所の名前の後に「〇〇期同期生」の文字が続いていた。
「……」
「昨日俺以外の奴らで呑んでたらしい。俺も誘われたけど、断った」
伊澄を見上げれば顎をクイと上げられる。おそらくよく見ろとの合図だと察し、上にスクロールしていけば確かに伊澄が行かないと素っ気なく返した文面があった。
どこをどう見ても仲の良さげな同期同士の会話しかなく、先の女性からのメッセージも話の流れを追えば昨日の飲み会の感想にしか見えなかった。
それが分かった途端、雫の体から一気に力が抜けた。
「ついでにコレも見ろ」
押し付けられ差し出されたトーク相手の一覧には、グループのリストか男性の名前しか無い。
「まだ信じられないなら他にも…」
「も、もういい!分かった、…分かったよ…」
これ以上はなんだか早とちりした自分の醜態を晒されているようで恥ずかしくなって止めた。
伊澄はいささか不満げな顔をしたが、スマホを投げ捨て、手を伸ばし雫の肩を優しく握った。