それは麻薬のような愛だった
「面倒くさいって実家に娘と帰ってるよ」
「ええ〜!久しぶりの生天城くんが拝めると思ってたのに!」
「んー、けど…伊澄くんが参加するなら私は来ないつもりだったから私的にはちょうど良かったよ」
雫は昔、友人と話す時には伊澄の事を「天城くん」と呼んでいた。
今は同じ苗字なのでややこしくならないよう下の名前で呼んでいるが、昔の名残もあるしやはり人前で子供っぽいあだ名で呼ぶのは伊澄にとっても恥ずかしいだろうと、雫なりの配慮だった。
「えっ?なんで?紬ちゃんはご両親が見ててくれるでしょ?」
「いや…それでもやだよ。彼目立つし。私下手に注目されたくない」
「雫のそういうとこ変わんないねえ。天城くんに群がってたハイエナ共にみせしめてやればいいのに。どうだ!私の旦那だ!って」
「あんたじゃないんだから。雫はそんな事しない子でしょ」
「ええ〜私だったら自慢したいけとなあ。あんな超ハイスペックなイケメン旦那」
友人の言葉に雫は苦笑いを返す。そろそろ会場に向かおうという友達の言葉で移動を始めたが、その間に話すのはやはりそれぞれの家族の話が主だった。
「うちの子はもうすぐ小学生だけどさ〜毎日幼稚園行かない!って駄々こねてて心配だよ。ちゃんと学校通ってくれるのかなあ」
「分かる。毎日の事なのになんで飽きずに毎度暴れるんだろうね」
「雫のところはもうすぐ2歳だっけ。それくらいの頃が1番可愛いよね」
「そうだね。言葉も増えたし大人のマネして色んな仕草するようになって可愛いよ」
「だろうね〜!それでなくても天城くんそっくりで超美人さんだもん。あれだけ可愛いと将来心配…ていうか待って。天城くんってどういう風に子どもあやすの?めっちゃ興味ある」
「ええ…普通だよ。いつもとあんまり変わらない」
「え、あの無表情のまま?」
「うん。だからかな、紬には面白くない大人認定されてる」
「子どもに振り回される天城くん!ちょっと見てみたい!」