それは麻薬のような愛だった
体調が回復して気持ちも落ち着きしばらく経った頃、雫は颯人に別れを切り出した。
何度も何度も考えた。このまま颯人と続ける事を。けれどどれほど悩んだとて、最終的に行き着く答えはいつも同じだった。
誰からも愛される事の出来ない身体になってしまった自分に、優しい颯人を、大切にしてくれた彼を巻き込みたくは無かった。そんな資格など無いと思った。
理由を問われ、セックスは出来ないのだと話した上でも颯人は復縁を望んでくれた。けれど雫は頑なに断り続けた。
掴めそうだった幸せを自分から手放した。サークルも辞め、それに連なる友人とも距離を置いた。そうしていくうちに次第に颯人からも連絡が来なくなり、これで良かったのだと、自分を納得させた。
とはいえ、異性が完全にダメになった訳ではないようで友人として付き合う事には何の問題もなかった。だが身体の触れ合いだけは想像するだけでも無理になってしまい、フラッシュバックしては何度か嘔吐した。
幸いというべきか、颯人の他に好意を寄せてくれるような男も居なかった為その後の大学生活は至って平和だった。
もう二度と恋愛はするまいと割り切ってしまえば、弊害は何も無かった。
自分の身体と漸く向き合えるようになった頃、季節は冬に移り変わり年が明けた。
雫は予定通り同窓会出席するため、地元へと戻った。