それは麻薬のような愛だった
「ねえあれ…もしかして天城くんじゃない?」
不意に友人の一人が声色を弾ませて言う。
そうして全員が向けた視線の先には飛び抜けて目立つ男が居た。
「うわ〜ますます男前に育ってるよ…」
「え、待って。スーツ姿かっこ良すぎじゃない!?」
「天城くん、K大の法学部にいるんでしょ?あのルックスで将来が確約されてるなんて優良物件過ぎるよね」
「天は二物も三物も与えるってね」
「もう眼福…今日来て良かった〜!」
口々にその男を賛美する中、雫も同じように視線を向けていた。
「うん…本当に、かっこいいね」
昔より少し伸びた髪も、また一段と精悍さを増した顔立ちも、流れる切れ長の瞳も、どこまで伸びるんだと言いたくなるような長い脚も——天城伊澄を形造る何もかもが輝いている。
「……」
それだというのに、かつては確かに抱いていたはずの彼を見るだけで心が躍るような喜びが、今は湧いてこなかった。
その姿を目にすれば嬉しいしドキドキもする。
けれど、それだけだった。