それは麻薬のような愛だった


伊澄は会場に現れた瞬間、かつての友人や煌びやかな女子達にあっという間に囲まれた。

そこに割って入ろうとなどと思う猛者でもいない限り、鉄壁ともいえる壁のような人だかりが出来上がっていた。

「まるで芸能人にでも会ったみたいだよね」なんて冗談を言う友人と一緒に笑っていると、不意に伊澄の目が雫に向けられた。


「あ、こっち向いた!視線の破壊力ヤバい!」

「ちょっと落ち着きなよ…」


騒ぐ友人と呆れる友人に囲まれ、雫は伊澄の目をしっかりと捉えていた。

自分に向いているかは不明だがとりあえず笑顔を作り小さく手を振れば、伊澄はすぐに視線を逸らした。


——気のせいだったかな?

そう思っていると会場内に同窓会の開始のアナウンスが流れた。幹事だという男女の挨拶から始まり、乾杯の合図がかけられる。

同窓会の最後には全員参加のビンゴゲームが開催されるというけど、それまでは立食式の自由なパーティーだった。


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