それは麻薬のような愛だった
間も無くして2時間ほど行われた同窓会は終了の運びとなり、ほとんどの面々が二次会へ向かうこととなったが雫は帰宅を決めていた。
「雫は二次会には行かないんだっけ」
「うん。だってみんな不参加でしょ?」
「そー。私大学が地方だし、明日にはバイトも入れてあるから帰ったらすぐ出なきゃ」
「右に同じく」
仲のいい友人が揃って出席しないとなれば場違い感が浮き彫りになりそうなので参加は辞めた。
雫の帰省は3日後だが、特に出たかった訳でもないので別に良かった。
会場となる場所を後にし、別れを告げてまた遊ぼうねと軽い約束を交わして帰路に着く。
だが慣れないヒールで居続けたせいで、足が産まれたての子鹿の如く覚束なくなってしまっていた。
この足ではとてもじゃないが徒歩での帰宅は難しい。仕方なく母に迎えに来てもらおうとスマホから連絡を入れた。
そして来た時に降ろしてもらった近くのコンビニまでは頑張って歩こうと、足を踏み出そうとした時だった。
「…雫」
背後からかけられた声に、身体が硬直した。
見ずとも分かる聞き慣れた声。
あまり会いたくはなかったけれど、無視する訳にもいかないのでゆっくりと振り返った。
「…いっちゃん、久しぶり」