それは麻薬のような愛だった
「杜川さん、今夜飲みに行かない?」
華の金曜日。
仕事も定時を少し過ぎた頃に終わり仲のいい同僚に飲み会に誘われた。
是非、と返事をしようとしたがスマホに昼過ぎに来ていた一通のメッセージを思い出した。
「…ごめんなさい。今日は予定あって」
「えーそうなんだ。もしかして彼氏?」
「違いますよ。昔からの友人と会う約束してるんです」
飄々と嘘を吐けば、同僚は「そっか。じゃあ次は参加してね!」と明るい笑顔で去っていく。
荷物を片付けて帰路につき、通勤時間30分の道のりを終えて帰宅した。
帰りに適当に買ってきた夕食をリビングのテーブルに置き、すぐに向かったのは洗面所。
浴槽を軽く磨き湯を張っている間に洗濯物を片付けた後、服を脱ぎ捨て風呂場に入った。
長いため息を吐きながら1週間の疲れを癒し、半刻程の入浴を終えて外に出ると用意しておいた寝巻きに着替える。
タオルで乱雑に髪を拭きながらリビングに戻り、リモコンでテレビを点け買ってきた惣菜で夕食を済ませる。
ここまではどこにでもよくある、少しだらしない普通の働く女の生活だ。