『ゴールデンゴール』
22
◇圭子の見つけた仕事    

夫は知らないが、私はOLとして寿退社するまで勤めていたものの、多く
稼げるという魅力に惹かれ、キャストとしてクラブで数年間、結婚前まで
働いていた。

夫には、つい言いそびれて今日(こんにち)に至っている。

勤め始めた頃から数えると8年も過ぎていて、しかも子持ちのおばさんに
なってしまった。今更自分が雇ってもらえるのかどうか……。


だが、昔勤めていたクラブのオーナーに連絡を取ってみると、即日OKが
出た。『圭子は本当に運がいい』って言われた。

ちょうど今の子(キャスト)が 、結婚して他県に行くことになり、
次の子を探していたところなんだと……。

 8年前に勤めていた頃は、呼び名をキャストじゃなくてホステスと呼んでいた
はずなんだけど、時代と共に今風にラウンジなんかと同じような呼び方に
変わっていて、へぇ~って思った。


給与の話や契約書のこともあり、私はすぐに面談に行くことにした。
そして諸々手続きを終え、私は週に3日勤務することになった。


子供は引っ越しでかなり距離的に近くなった母親に預かってもらえることになっている。

仕事を決めてきたことはまだ夫には話してなくて、事後承諾にしようと
考えている。

一般的に見ると舐めたことをしているように見えると思うけど、そして自身
逡巡もあるけれど、こうでもしないと飛べない……私は飛べないと思った。


面接があったのがちょうど金曜で明日は匠平さんは休みだから、今夜か明日に
は仕事の話をしようと思うんだけど……。


いつ話すにしても未紗が起きてるとわちゃわちゃして話にならないからっと、
晩御飯を食べさせてお風呂に沈め……じゃなかった、入浴させてからの布団に入れて 
ヨシヨシと。いっちょう上がり。

匠平さんは確か今日はフレックスタイムを利用して9時過ぎに出ていったから、 
もうそろそろ帰る頃かなと頃合いを測っていたら22時前に帰って来た。


「お帰りなさぁ~い」

「ただいま」

「お疲れ様」

「帰りがけにちょっと缶コーヒー飲んじゃったから風呂先に入るよ」

「うん、食事の支度してるね」

お風呂から出て来て食事をしている匠平さんを見てると、疲れているところへ 
喜ばしくもない話を持ち出すのは躊躇われた。

でも、言い出しにくい話ほど早めにしたいというか、しないとというか……
でないと益々言いそびれてしまいそうだから。





< 22 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop