恋するだけでは、終われない
あとがきにかえて
[番外編] 先輩の、続編に関するつぶやき
三藤月子は、それを読み終えるとボソリとつぶやいた。
「この続き、ちゃんとあるのよね……?」
僕は作者の代わりに、先輩に事情を説明する。
「あ、あの……。なんだか『続編』の連載、開始したらしいですよ」
「そうなの、タイトルは?」
「は、はい。えっと……」
僕は手元の、メモを見る。
『恋するだけでは、終われない / 告白したって、終われない』
え? 今度は、副題がつくんですか?
「別の作品としてはじめるのね。アクセス数とか、まとめられないわよ……」
「は、初めての作品の割に。予想以上に筆が進み始めたらしくて……」
「それで?」
「登場人物も、増えましたし……」
……まずい、また余分なことを口にした。
三藤先輩の、あの目は。
だからどうした。せめて舞台が夏に入るとか、ひとつの区切りを迎えたからとか。
もう少し、真っ当な理由にしろといっている。
あぁ。書いているのは、僕じゃないのに……。
……恋の続き、描いていくのね。
わたしはもう一度、長編小説のタイトルを眺めながら。
作者の気持ちを、代弁する。
「みなさんに、読んでいただけてうれしかったそうよ」
「そ、そうなんですか?」
「当たり前じゃないの。投稿サイトの作品数、どれだけあると思っているの?」
「た、確かに……。僕からも、感謝の気持ちを伝えないといけませんね」
「あら? 珍しく空気を読んだのね」
……続けて。読み手のみなさんが持つ鑑賞力に、一歩でも近づきたい。
そんな想いも、作者はあるのだと。
わたしが話そうとした、そのとき。
……静かな放送室の廊下に、にぎやかな声が響きはじめた。
「なんだかこのままだと。あとがきまで、長くなりそうですよね?」
「そうね、ほかのみんなには……」
……次回作でまた、好きなだけ登場してもらえばいいわ。
わたしは心の中で、そうつぶやくと。
「海原昴くん……」
「は、はい」
「今後とも、よろしくね」
わたしたちの出会いに。
そして、読者と作者の出会いにも。
少し、ほほえみを添えて。
……改めて、感謝の気持ちをあらわした。
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これまでご愛読、本当にありがとうございました。
ふたりの、会話のとおり。
続編『恋するだけでは、終われない / 告白したって、終われない』を公開中です。
別小説となり、お手間をおかけいたしますが。
よろしければ、引き続き。
彼らが過ごす日々を、あたたかく見守っていただければ幸いです。
つくばね なごり

