愛は花あられ

そして、その日はそれほど忙しいわけではなかったので、無事に定時で仕事を終えることが出来た。

わたしが帰り支度をしていると、「師道社長、お疲れ様です!」と言う社員の声が聞こえ、わたしはふと顔を上げた。

すると、そこには師道社長の姿があり、わたしの方へ歩み寄って来た。

「妃都、お疲れ。もう帰れそうかい?」
「はい。今帰ろうとしていたところです。」
「もう下に香川が着いているはずだから、送ってもらいなさい。」
「はい、じゃあお先に失礼します。」
「今日もありがとう。俺も用事が済んだら、すぐに帰宅するからね。」
「はい、分かりました。」

師道社長は「じゃあね。」と言うと、周りの社員たちに「みんなお疲れ。」と言いながら、フロアから出て行った。

わざわざわたしに"お疲れ"って言いに、社長室から下りて来てくれたんだ。

あ、香川さんがもう下で待っててくれてるんだよね。
早く下に下りなきゃ。

そう思い、わたしはバッグを肩に掛けるとエレベーターへと向かい、一階へと下りた。

それから社員証をタッチしてゲートを抜け、ビルの外へ出る。

すると、「おい、妃都!」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。

その声に足を止め、ふと横を見ると、そこには誠太の姿があった。

「お疲れ。」
「誠太、何してるの?」
「妃都を待ってた。社内では師道社長の目があるから、話し掛けられなくなっちまったもんなぁ〜。」

誠太はそう言うと、ハハッと笑った。

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