歪んだ月が愛しくて2



Prrr…。



そんな時、俺のスマートフォンが着信を知らせた。
ヤエからもらった白色のスマートフォンではなく文月さんから持たされた黒色の方が。



「この音って…、リカ?」

「うん」



ディスプレイに表示された「哀さん」の名前に少し警戒した。



「……ごめん」

「え、リカ?どこ行くの?」

「ちょっと外で電話して来る」

「えー、何々怪しいな。もしかして彼女だったりして?」

「か、かかか…っ」

「彼女おぉおおお!?」

「……まさか」



アイツが彼女なんて死んでも御免だよ。



未空達を振り切って一旦教室の外に出てから通話口に耳を当てた。
未だ教室内から俺の名前を狂ったように叫ぶ未空と汐の声が漏れていたが無視することにした。



「……もしもし」

『よお、久しぶりだな』



やっぱり文月さんか。



「……哀さんのスマホ使って電話して来んじゃねぇよ、紛らわしい」

『俺様からの電話だと居留守を使われると思ったからな』

「よく分かってんじゃん」



誰が好きでアンタからの電話なんて出るか。



『随分と嫌われたものだな』

「今更」

『ハッ、違いねぇ』



電話の向こうで苦笑する、文月さん。
無駄話なんてするつもりないのに文月さんはいつまで経っても本題に入ろうとしない。



「で、用件は何?くだらねぇことだったら即行切るから」

『くだらないかどうかは自分で判断しろよ。まあ、もう噂は広まってると思うがな』

「噂?」

『白夜叉のことだ』

「……それが?」

『その様子だと既に噂は耳にしたようだな』

「まあ…」



これだけ騒がれていたら文月さんの耳にも届いているとは思っていたが、まさかそんなことで態々電話して来るとは思わなかった。


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