歪んだ月が愛しくて2



「な、で…」

「驚くことはないさ。何れこうなることは分かっていたからね」



その言葉通りアゲハは平然としていた。
まるでこうなることを予め予想していたかのように。



「……いいのかよ、バレても」



そもそもアゲハは正体が露見することを恐れていない。
それどころか堂々と開き直っていて、仕舞いには何故か楽しげに口角を上げていた。



「過ぎたことを気にしても仕方ないさ。それに頼稀を傍に置いている時点でバレるのは時間の問題だと思っていたからね」

「頼稀?」

「おや、頼稀から何も聞いてないのかい?頼稀が僕の従者だと言うことを」



従者?



「付き人…、SPとでも言うかな。だから本来頼稀が僕の傍にいることは何ら不思議なことではない。寧ろ当然のことなんだが、頼稀が“B2”の幹部だと知る者からしてみれば頼稀の主である僕が“B2”の総長だと深読みしても可笑しくはないだろう」

「………」



それでも疑問が残る。
以前、覇王は頼稀以外の族を把握していなかった。
それなのに何で急にアゲハの正体に気付いたのか。



「何で、覇王はアゲハのことを…」



覇王が“B2”を警戒する理由が分からない。
俺が生徒会に入ってそんなに経ってないが、これまで見て来た中で覇王と“B2”に何かしらの因果があるようには思えなかった。



一体、覇王は何を警戒しているのか。



アゲハを?



頼稀を?





「覇王が懸念しているのは僕じゃない」





それとも…、





「君だよ、駒鳥」


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