ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
(どうしよう、これだけで幸せだ)

 ささやかな時間かもしれない、でもこんな時間簡単に手に入る時間ではない。

 特別で唯一の時間、そう思った。

「安積さんってお料理するんですか?」

「簡単なものなら作れるよ。ひとり暮らし長いんで」

「何を作るんですか?」

「卵サンド」

「私も手伝っていいですか?」

「え、でも……」

 気遣ってそう言いかける安積さんの言葉を遮る様に傍まで行ってお願いした。

「私のしたい事! 言ってもいいんですよね?」

 好きな人と並んで料理すること、そんなことだってしたかったことのひとつ。お休みの朝に一緒に食べる朝食を作る時間、ずっと幸せな時間が続くようで……そんな朝は夢だった。

「じゃあ卵といてくれる?」

「はいっ!」

 飛びつく様に返事をしたら笑われた。
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