ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「俺の勘違いじゃなかったら、安積?」

「え」

「仲良いんだね」

「……いつも気にかけていただいて……お世話に、なっております」

 しどろもどろ返す私の取ってつけた様なテンプレ用語にニコニコ見つめてくる柳瀬部長。なんだろう、この気まずさは。すごく嫌な予感がした。

「俺が料理うまいとか、よく知ってるね? 俺のプライベートなことが話題になる様な事ってある?」

「……お二人、とてもその、な、仲がよろしいみたいでその……」

「安積ってさ、そんな個人情報ペラペラしゃべるタイプじゃないのね。だから俺も安積にだから話す、みたいなところはあるの」

 それはつまり、そんな柳瀬部長のプライベート部分をなぜ私が知っているのかと問いたいのか。そして多分、その意味に気付かれている気がする。だって――。

 (柳瀬部長の顔がもう、終始! ずっと! ニヤニヤしているからっ!)

「ああ、あのぉっ!」

「ふたりって付き合ってんの?」

 直球で聞かれてファイルをバサバサッと落としてしまった。

「ちちち、違いますっ!」

「わかりやすいね、四宮さん」

「あの、本当に違います! 誤解です!」

「別に社内恋愛禁止じゃないでしょ? 部長として止めてるとかでもないよ?」
 
(そういうことでもなくっ!)

「ち、違うんです! 本当にその……」

「付き合ってるんだ? ふたりって」
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