ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 本音を溢したら柳瀬部長は「はぁぁ」と派手にため息を溢して、呆れられてしまった。

「そういうセリフ直球で言うんだ? 四宮さん、なかなかメンタル強いな?」

「え?」

「そうハッキリ言われるとむしろ清々しいよ?」
 
 にこりと微笑むその顔こそ、慣れて無敵の柳瀬部長、そんな感じだ。

「柳瀬部長だったらどんな女性もイチコロだと思います」

「今しがた振られたところで信憑性がないね?」

「え? 私相手に本気でおっしゃってるんですか?」

「そういう自己肯定低い感じもお似合いだと思うよ……」

 急に嫌味みたいに言われて肩をすくめてしまうものの、柳瀬部長の言葉はいつだって優しいから。


「三カ月なんかあっという間だよ。残りの仕事と引継ぎ、よろしくね」

「はい」

 三カ月後、私は日本を発つ。その準備に慌ただしく日々は過ぎていった。
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