求愛過多な王子と睡眠不足な眠り姫
「この2年、君が朝岡でやっていけるよう力を尽くした。煩わしい人間関係や堅苦しいしきたりに囚われなくてもいい、君を守る。約束する」
父親の前で言い切る。でもーーこれは神聖な誓いに似せた身勝手な宣戦布告なんだ。
「触らないで下さい」
手を取ろうとする仕草を払い除ける。
「ミント? 怖がらなくていいから。君はそのままでいいんだ」
「そのまま?」
「と言っても、今の職場に在籍したままじゃ守りきれない時もある。一緒に退職しよう? 今回の辞令はその為だ」
「……」
「あ、いや、ミントがそのまま働きたいと言うなら辞めなくていいよ。就業先は朝岡関連会社という制約はついてしまうが、やりたい事をしてくれ。もし家庭に入りたいならそれもいいだろう。君の意思を尊重する」
「正気です、か?」
「酔狂と思うかもしれないが、僕は君と違って飲んでいない。大真面目だ」
思いやりを持って接して貰えてもこれっぽっちも届かない。それどころか彼の思いやりに傷付けられ、目の前が黒く塗りつぶされていく。
「わたしがいつ、そんな事を頼みました?」
「川口にも愚痴を言っただろ? 僕の隣に立つのが怖いって。なら側にいてエスコートする。君は目を瞑っていても構わない」
ニカッとスイカ8等分した笑顔で言う。
父親の前で言い切る。でもーーこれは神聖な誓いに似せた身勝手な宣戦布告なんだ。
「触らないで下さい」
手を取ろうとする仕草を払い除ける。
「ミント? 怖がらなくていいから。君はそのままでいいんだ」
「そのまま?」
「と言っても、今の職場に在籍したままじゃ守りきれない時もある。一緒に退職しよう? 今回の辞令はその為だ」
「……」
「あ、いや、ミントがそのまま働きたいと言うなら辞めなくていいよ。就業先は朝岡関連会社という制約はついてしまうが、やりたい事をしてくれ。もし家庭に入りたいならそれもいいだろう。君の意思を尊重する」
「正気です、か?」
「酔狂と思うかもしれないが、僕は君と違って飲んでいない。大真面目だ」
思いやりを持って接して貰えてもこれっぽっちも届かない。それどころか彼の思いやりに傷付けられ、目の前が黒く塗りつぶされていく。
「わたしがいつ、そんな事を頼みました?」
「川口にも愚痴を言っただろ? 僕の隣に立つのが怖いって。なら側にいてエスコートする。君は目を瞑っていても構わない」
ニカッとスイカ8等分した笑顔で言う。