【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
(人間なんていつまで生きられるなんてわからない! ちゃんと自分の気持ちは伝えていかないとっ)

それは前世で学んだ教訓のようなものだ。
明日、急に意識がなくなり死んでしまうかもしれない……なら、今伝えるしかないではないか。
吹っ切れたヴァネッサは手のひらを顔から離す。


「そのっ……夫婦ですし、わたしはギルベルト様を素敵だと思っていますから」

「…………」

「だから……っ、ごほ、ゴホッ」


無意識に荒い呼吸を繰り返していたようだ。
興奮しすぎたせいでヴァネッサは咳き込んでしまう。
ギルベルトはすかさずヴァネッサの背を撫でる。
こういう気遣いはギルベルトらしい。

ヴァネッサの咳が落ち着いた頃にギルベルトは口を開く。


「……ありがとう、ヴァネッサ」

「え……?」

「君の気持ちはとても嬉しいよ」


ギルベルトはそう言いつつも優しい表情をしている。
もしかして期待をしてもいいだろうか。
ヴァネッサの心臓はドキドキと音を立てていた。
しかしギルベルトから告げられたのは信じられない言葉だった。


「だが、今は君の気持ちに応えるわけにはいかない」

「…………!」

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