【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「俺のことを好きにならないくていい」
ギルベルトは淡々とそう言った。
彼は何を思って、この言葉をヴァネッサに言ったのだろうか。
こんなにもギルベルトの考えが知りたいと思ったことはない。
ヴァネッサは返す言葉が見つからなかった。
ただ喉奥から「ぁ……」と、詰まったような声が出た。
「君の夫として君の好きなことはさせたいと思っている。今までの分まで、ヴァネッサがやりたいことをやるといい」
「…………」
「責任は取るつもりだ」
ギルベルトの言葉は優しいのにどこかほろ苦い。
不思議と涙は出てこなかった。
ヴァネッサの気持ちはあっけなく拒絶されてしまったが、それで彼への感謝の気持ちや恩が消えるわけじゃない。
(わたしはわたしのやりたいことをやるわ……!)
下唇をキュッと結んだヴァネッサはギルベルトの『やりたいことをやるといい』という言葉。
ヴァネッサはギルベルトに向かってダイブするように彼のことを抱きしめた。
ギルベルトが逃げられないように腕でガッチリと固定する。