【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「──ギルベルト様に何かあればアンリエッタが悲しみますっ!」

「……!?」

「も、もちろんわたしも悲しいです! わたしたちにはギルベルト様しかいないんですからっ」


自分でも何を言っているのかはわからなかったが、ギルベルトに少しだけでも休んでほしくて必死だった。
ふと、ギルベルトの抵抗が弱まったような気がして、ヴァネッサはゆっくりと顔を上げる。


「……わかった。三十分だけ休む」

「本当ですか!?」

「レイ、三十分後に起こしてくれ。それからジェフに伝言を頼んで欲しい」

「かしこまりました」


レイは驚きつつも頭を下げて、部屋の外へ。
ヴァネッサはギルベルトに予定を変えさせてしまい、複雑な心境ではあったが、これで彼が少し休めるだろうとホッと息を吐き出した。
ギルベルトは頷くと椅子を取り、背もたれに寄りかかって腕を組むとすぐに瞼を閉じる。


「こ、ここで眠るのですか!?」

「ああ、移動する時間が惜しい。それに休めと言ったのは君だぞ?」


少し苛立ったような声に、薄目でこちらを見るギルベルト。
ヴァネッサは静かにするために口を閉じる。

暫くの沈黙の後、ギルベルトは本当にすぐに寝てしまった。
スースーと静かな呼吸音。ギルベルトが休んでくれたことが嬉しく思えた。

心地のいい沈黙にヴァネッサもベッドに横になる。

(よかったわ。ギルベルト様が休んでくれて……)

アンリエッタとたくさん話したり、興奮したりしたせいかすぐに眠気が襲ってくる。
ヴァネッサもそのまま眠りに落ちた。
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