【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
『まず……ひどい病気ではない。ここで過ごせば咳も肌の赤みも落ち着くだろう』


ギルベルトの言葉を聞いて、ヴァネッサはホッと息を吐き出した。
治らない、ずっとこのままだと言われたらどうしようと思ったからだ。


『恐らく、環境やストレス、気温の寒暖差やアレルギーなどが原因で出ていたのかもしれない』

『……!』

『もちろん栄養不足も大きな要因ではあるが、短期間でよくなったところを見るに間違いないだろう』


ヴァネッサはギルベルトの言葉に納得していた。
記憶にあるヴァネッサが住んでいた場所は劣悪だった。
お世辞にもいい環境とはいえず、ヴァネッサの扱いは幼い頃から最悪だったことがわかる。
途中から医師にみせられなかったこともあり、ヴァネッサがどうなろうとどうでもよかったのだろう。

(わたしがこうなっていたのは全部あの人たちとよくない環境のせいだったのね……)

出続ける咳や肌の赤みなどは埃や不衛生な環境のせいだという。
適切な環境で治療を受けていれば、ここまでひどくはならなかったそうだ。
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