愛おしい、君との週末配信✩.*˚【BL】
 撮影してから約一週間後、動画は公開された。教室で休み時間に集まり、山田のスマホで鑑賞する。

 ほとんどが永瀬に対してのコメントだけど、僕に対してのコメントも結構書いてあった。

『純白な優心さま、存在だけで安らぐ』
『優心くんは目の保養』
『天使、再び降臨』

実際の僕は、視聴者が思い描く天使のようなイメージからは遠い。どっちかと言うと毒々しい。

「ふたりがいるとユーザーの反応違いすぎて楽しいな」と、桜塚は満足そうな笑みを見せた。

 以前桜塚たちの動画を覗いた時にはコメントは見当たらなかった。今は余裕で百を超えているコメント数。そしてチャンネル登録数とアクセス数もどんどん覗くたびに増えていった。そして僕が永瀬と共演したことに、妹の風花と柚花、姉の沙菜までもが喜んでいた。

 その後も結局上手い言葉に丸め込まれ、三人と動画配信を続けた。映ることやテンションの高さにも慣れ、桜塚のテンションを上手くかわす技術も身につけた。鬼ごっこの対戦ゲームをする企画の時も参加させられた。すぐに負ける僕は悔しい気持ちを抱えながら途中にも関わらず離脱した。そして僕の避難場所として常に設置してある撮影部屋の手芸コーナーへ行き、ほぼ画面に映るだけの日もあった。なぜかその光景にハマる人たちもいて、意味不明だがコメントで感謝されたりもした。

最初は風花のためだけに参加していたはずだったのにな……いつの間にか撮影の時間が楽しみになっていた。

 特に、永瀬と一緒に手芸をしてることが僕の中で特別なものになっていった。そんな中、撮影の合間にこっそり永瀬が提案してきた。

「なあ、優心。桜塚たちには内緒で、ふたりだけで手芸配信してみない?」と。

「ふたりだけで? なんで?」
「なんか、優心とふたりだけで何か作るの楽しそうだから。ほら、桜塚たちはいつも騒がしいし……ふたりだと落ち着いて手芸ができるのかなって」

 永瀬はふふっと爽やかに笑いながら言う。その笑顔から逃れられなくなり「分かった」と、操られたように頷いてしまった。

< 27 / 52 >

この作品をシェア

pagetop