愛おしい、君との週末配信✩.*˚【BL】
自転車を車庫の中に停める。
さっきはどのくらいの強さで撫でられたのだろう。自分の手で自分の頭を撫でてみた。
――永瀬翔は、何を考えながら僕の頭を撫でたんだ?
いや、永瀬なんてどうでもいい。僕は頭を振りながら玄関のドアを開けた。妹たちの可愛い声が聞こえてくる。まっすぐリビングへ行くと、ふたり仲良く、パステルカラーのふわかわな絵を画用紙いっぱいに描いていた。
「お兄ちゃん、今日遅かったね」
「あぁ、ちょっと永瀬翔の部屋で寝てた」
風花に質問されて、僕はそう答えた。が、言わなければ良かったことに気がついた時には遅かった。
「かけるんの部屋で寝てたの? どうして?」
風花は目を輝かせて質問してきた。柚花も反応している。キラキラモードに突入したふたりを見るとイラッとした。
「かけるんの家、私も行きたい!」
「柚花も!」
「ダメだ! 絶対永瀬翔の家には行ったらダメだからな! 兄ちゃん、カレー作ってくる。家に行きたい話は禁止だ。したら怒るから!」
僕はわあわあ言い続ける妹たちに背を向けてキッチンへ向かった。
――嫌いだ、僕は永瀬翔が嫌いだ。
一度嫌いだと思うと永瀬の完璧な言動や顔さえも。全て鼻につくようになっていった。
嫌いな理由? だって、うちの姉妹たち、特に風花が永瀬翔の大ファンだから。風花はお年玉で永瀬グッズを買ったり、映像が流れてくるたびに黄色い反応をしたりする。特にもう無理!ってなったきっかけは、妹たちと喧嘩をした時に「かけるんがお兄ちゃんだったら良かったのに!」と言われた時だ。こっそりその時は泣いた。
玉ねぎを切りながらふと頭に考えがよぎる。ふたりの幸せを考えるなら願いを叶えてやるべきか。いや、ダメだ。妹たちと永瀬を合わせてはいけない。もしも妹たちが僕よりも永瀬と仲良くなり、懐いてしまったら? もしも永瀬のことを本当にお兄ちゃんなんて呼んでしまったら?
気がつけば目から零れた涙がまな板の上にぽつりと落ちた。この涙は玉ねぎのせいか、それとも?
――風花と柚花が離れていくのは絶対に嫌。絶対に永瀬翔に会わせないぞ!
なんて思っていたのに。
*
さっきはどのくらいの強さで撫でられたのだろう。自分の手で自分の頭を撫でてみた。
――永瀬翔は、何を考えながら僕の頭を撫でたんだ?
いや、永瀬なんてどうでもいい。僕は頭を振りながら玄関のドアを開けた。妹たちの可愛い声が聞こえてくる。まっすぐリビングへ行くと、ふたり仲良く、パステルカラーのふわかわな絵を画用紙いっぱいに描いていた。
「お兄ちゃん、今日遅かったね」
「あぁ、ちょっと永瀬翔の部屋で寝てた」
風花に質問されて、僕はそう答えた。が、言わなければ良かったことに気がついた時には遅かった。
「かけるんの部屋で寝てたの? どうして?」
風花は目を輝かせて質問してきた。柚花も反応している。キラキラモードに突入したふたりを見るとイラッとした。
「かけるんの家、私も行きたい!」
「柚花も!」
「ダメだ! 絶対永瀬翔の家には行ったらダメだからな! 兄ちゃん、カレー作ってくる。家に行きたい話は禁止だ。したら怒るから!」
僕はわあわあ言い続ける妹たちに背を向けてキッチンへ向かった。
――嫌いだ、僕は永瀬翔が嫌いだ。
一度嫌いだと思うと永瀬の完璧な言動や顔さえも。全て鼻につくようになっていった。
嫌いな理由? だって、うちの姉妹たち、特に風花が永瀬翔の大ファンだから。風花はお年玉で永瀬グッズを買ったり、映像が流れてくるたびに黄色い反応をしたりする。特にもう無理!ってなったきっかけは、妹たちと喧嘩をした時に「かけるんがお兄ちゃんだったら良かったのに!」と言われた時だ。こっそりその時は泣いた。
玉ねぎを切りながらふと頭に考えがよぎる。ふたりの幸せを考えるなら願いを叶えてやるべきか。いや、ダメだ。妹たちと永瀬を合わせてはいけない。もしも妹たちが僕よりも永瀬と仲良くなり、懐いてしまったら? もしも永瀬のことを本当にお兄ちゃんなんて呼んでしまったら?
気がつけば目から零れた涙がまな板の上にぽつりと落ちた。この涙は玉ねぎのせいか、それとも?
――風花と柚花が離れていくのは絶対に嫌。絶対に永瀬翔に会わせないぞ!
なんて思っていたのに。
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