Mutter

第二章

小学校に通い始めて

意外な事を発見した


人は皆、恵まれている訳では無い

心の貧しさというのが、痛い

「私の消しゴムを触りたい」

というので渡したら、

遠くへ投げられてしまった

「消しゴムを貸して欲しいと言ったから貸してあげたのに」

私がそううったえると

「やだ。私、消しゴムいっぱいあるもん。匂い付きのも、かわいいのも、練り消しだっていっぱいあるもん」

そう言われてしまった


心と物事とは、連動していて

どちらかだけが満ちたりている

という事は無いのであろうか?


いや

昔シスター達がよく口にしていた教え

心の豊かさが大切なのだと

それは

偉い人間でも、そうで無い人間でも


本当に確かめたいのは

それが本当かどうか? という事では無く

本当の心の豊かさとは?

それなのである


知り得たい事

イコール

心の豊かさ

本来なら私みたいな年齢の子供というのは

もう少し無邪気なのかも知れないが

どうしても

そういう事に意識が向かってしまう


変わっているのかな

でも、変わっていると言われた事は余り無いのである



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