悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?
そして次の日。
僕は指定した部屋でリリアと一緒にジェリーナを待った。
時間ピッタリにドアがノックされる。
こういうところは、ものすごく正確だ。
ブライにドアを空けさせると、ジェリーナは無言で部屋に入ってきた。
随分と警戒しているようだ。
当然か。

「ジェリーナ。僕が何を話そうとしているか、心当たりはあるか?」

僕はジェリーナに問いかけた。
しかし、彼女は無言のままだ。
何か言えば、墓穴を掘ると思っているんだろうか。

僕は本題に入ることにした。
さて、ジェリーナはどんな反応をするだろう。

「何も言わないってことは、やっぱりあるんだな。
やはり、僕の判断は間違っていないようだ。単刀直入に言おう。君との婚約を破棄する」

どうだ?
率直に言われて、自分がしたことの罪を思い知っているか?

ならば、泣きながら僕に「婚約破棄しないで」と懇願するんだ。
その、高慢な態度を改めれば許してやる。
しかし、それでもジェリーナは何も言わない。
まさか、この期に及んで無言を貫くのか!?
僕は失望した。

「ちょっと待ってください。アルノート様。本当にそれでいいのでしょうか?」

張り詰めたどうにもならない空気を換えたのはリリアだ。
ああ、僕にはやっぱりリリアしかいない。
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