悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?
「助けてください」

リリアは姿勢を低くして移動し、アルから逃げてなぜか私の方へ駆けてくる。

な、なんですの!?

「ルイザ様!」

一瞬たじろいだ私の少し前にいたルイザに縋り出すリリア。

「大丈夫ですか?リリア様」

リリアはルイザの背中に隠れ、ルイザはリリアを守るようにアルとの間に入った。
会場は一斉にざわつく。
学生の中にはアルとリリアの噂を知っている人は多いが、来賓者にはわけのわからない状況よね…。

「リリア…僕の愛を受け入れてくれるんじゃ…」

「アルノート様!お戯れは終わりにしてくださいませ!」

弱弱しいアルの声をかき消すように、ルイザが毅然とした声を上げた。

これは…一体どういうことなの…?

「ルイザ、何の真似だ!」

突然叱咤されたアルは、不機嫌さを隠さずに声を荒げる。

「僕とリリアの邪魔をする者は誰であろうと排除する」

「お許しくださいアルノート様…」

激怒するアルを見て、リリアが突然床に突っ伏すように頭を下げた。

「リリア様が謝罪する必要はありません。
アルノート様、か弱い女性にここまでさせるなんて、あまりにも残酷ではありませんか!?」

リリアに寄り添うルイザ。
怯えて震えるリリアを見て、アルは混乱しているみたい…。
私も混乱した。
リリアとルイザにつながりがあるなんて思ってもみなかったから。
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